設計から離れたタイトルですが、少し違う視点からの5Sについて。
どこかできちんとレクチャーを受けた訳ではなく、仕事の中で見聞きしたことをベースに自分なりに理解している5Sの話です。
なぜ5Sの話?
なぜ5Sの話なのかというと、海外での5Sについてどのように理解されているのか疑問に思うことが有ったからです。
別の機会にブログに載せると思いますが、私は2012~2016年までインドに駐在員として赴任していました。
その後も縁あってインドとビジネスで繋がりがあります。
これまでに数回、5Sについてインド人社員にプレゼンをして欲しいと頼まれてやったことがありますが、ちょっとした違和感があったんです。
日本人にとっての5S
私達日本人にとって、2S(整理・整頓)は幼い頃から馴染みがある言葉だと思います。
清掃も5Sの1つという意識はあまりなかったと思いますが、「掃除」とか「きれいに」という言葉も馴染みがあると思います。
日本人にとっての3Sは、子供の頃から日常的に躾けられてきた言葉であり、体感的に理解しているものだと思います。
5Sという言葉がどの様に作られたのか知りませんが、ビジネスの世界では「3」とか「5」とかにまとめるのが好きなので、馴染みのある3Sに2つ足して「5」にまとめたのかもしれません。
インドにおける5S
では、インドにおける5Sはどうでしょうか。
彼らが成長して大人になるまでの間に、整理・整頓・清掃の概念が刷り込まれていることは、殆どないと思います。
社会に出て製造業やサービス業に携わる様になって初めて5Sという概念に接する人が大半です。
散らかしても、片付けるのは誰か他の人。
汚しても、きれいにするのは誰か他の人。
という環境では無理からぬことです。
製造業における一大産業の自動車では、日系企業の乗用車におけるシェアは60%弱ありますから、自動車関連産業では5Sは当たり前の言葉として知られています。
彼らも5Sを、 Seiri Seiton Seisou Seiketsu Shitsuke というローマ字で習います。
英語の5S
でもローマ字では意味が通じません。
では、英語ではどの様に説明されているかというと 整理:Seiri → Sort = 分類する 整頓:Seiton → Set = 配置する 清掃:Seisou → Shine = 光る、磨く 清潔:Seiketsu → Standardize = 標準化する 躾:Sitsuke → Sustain = 持続させる となっていることが多いようです。
英語でも頭文字をSにして5Sにしているので、ちょっと無理っぽい感じがしてしまいます。
「いただきます」や「もったいない」という英語の概念に無いことを、英訳する場合に難しいのと同じなのかもしれません。
私がプレゼンする5S
そこで私がプレゼンする時は、英単語は無視します。
そしてローマ字表記されている5つの「S」が、漢字でどう書くのかを説明します。
漢字は英語やヒンディ語の様な表音文字ではなく、表意文字で文字自体に意味があるとはどういうことか簡単な事例を交えて話をします。
日本人が小さい頃から3Sに親しむ環境であったことも含め、5Sの漢字の持つ意味を話すのです。
そして下図のような絵を示して、私の理解する5Sを説明します。
あくまでも私自身の経験から理解しているものだということを念押しして。
5Sは、整理、整頓、清掃の順番に行う3Sから始まる。
・整理とは要るものと要らないものを明確にし要らないものをすてることで、Dead or Alive(辞書のDead or Aliveは少し違う意味合いが載っていたので、誤解の無い様文字通りの意味との注釈付きで)。
・整頓とは、いつでも誰にでも見てわかるようにすることで、Anytime, Anyone, Visible。
・清掃とは。掃除をすることでBroom and Rag(インドの一般家庭で使われる掃除道具)。
・清潔とは、これら3Sを順番に繰り返してその状態を保つこと、Keep clean。
・躾とは、3Sを意識せずにレベルアップさせながら回せるようになることで、Action with Subconscious。
もっと適切な英語表現は有るんでしょうが、こういった説明を具体的な事例を交えてしています。
3Sは、動詞(整理する・整頓する・掃除する)だから子供でも行動に移しやすい。
でも4つ目の「S」は、この状態を維持する行動を継続的に続けることなので少し難しくなる。
最後の躾は、まるで螺旋を駆け上がっていく様に前よりも3Sのサイクルを一段広く、一段高く上げていけてる様子。
それはもう意識しないでも3Sが常に回せている状態。
例えば、事務所の通路にゴミが落ちているのを見たら自然に手が伸びてゴミを拾い、ゴミ箱に捨てることができる状態。
まるで外に出る時に考えなくても靴を履くような感覚。
というようなプレゼンを1時間位やるんですが、どの様に理解されたのかは謎です。
何か、実務に絡めて課題をやってみるのも良いのかもしれませんが、時間の制約もあるので座学で終わっています。
願わくば、彼らの理解が深まって5Sが役立たんことを!