注目キーワード
  1. AMP
  2. SEO
  3. PWA

糸面取りという名の面取り

糸面取りって?

糸面取りっていう言葉を聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれません。

糸状のバリ取り程度ということのようですが、じゃぁいくつなんだと言うと答えは一つではない様です。

C0.1とかC0.2とかC0.3など様々です。

殆どの場合、ピン角(エッジ)でなければ良いという感じなのでその設計者に確認するのが一番です。

 

Cという寸法補助記号

ちなみに面取りというのは機械製図では「C」を使って表すことがありますが、これは直角二等辺三角形で角を切取る(45°の角度で面を取る)場合のみに使用できて、そうでない面取りは違う表記方法にすることがJISで規定されています。

下図のAでは「C」を使えますが、Bでは「C」は本来使えません。

しかし実際にはその通り運用されていないケースも有ります。

どこかで間違ったまま使われて関係各所に展開されて、そのままBのケースでも「C」を使っていたりします。  

面取り形状

 

余談ですが、

もう1つ余談ですが、この「C」のことをずっとCornerの「C」だと思っていましたが、Chamfer の「C」じゃないかと気づいたのは数年前のことでした。

直径を表すΦも、ずっと「まる」が正式呼称だと思っていましたが「ファイ」も正式呼称としてOKだと知ったのも数年前です。(「パイ」っていう人もいますが。)

でも元々は丸い形状だから○、四角い形状だから□を用いた経緯からすれば「ファイ」ってどうなのよと感じます。

○のままだと数字のゼロと間違えるから串刺しにした結果、Φに形が似てしまったからだと言われれば、しゃぁないかとも思えますが、未だに違和感が拭いきれず海外ではDiameterと言っています。

今度彼らに「ファイ」で通用するか聞いてみることにしよう。  

糸面取りの目的とは?

閑話休題。 そもそも糸面取りってなんで必要かってことですが、大きく3つの理由があると思います。

1.その部品を扱う人(製造現場だったり、エンドユーザー)がエッジで怪我をしないようにするため。

2.加工後の部品のエッジに残るバリの除去(バリが何かのタイミングで剥がれてトラブルの元になるのを防止するため)。

3.エッジが他の部品を傷つけないようにするため。

なので、糸面取りはヤスリや砥石を使って加工されることが多く、面取りの大きさが規定されない魔法の言葉「糸面取り」が多用される所以です。  

CADで糸面取りはどうやって表現する?

図面では、注記に「指示なき角部は糸面取りのこと」とか、直接該当部位に矢印線と共に「糸面取り」と表記されますが、図面形状はエッジのままで、わざわざ糸面取りの形状を織込みません。

しかし3Dではそうは行きません。

糸面取りが有るということがわかるように3Dモデルに糸面取り形状を織込むか、他の方法を取る必要があります。

仮にC0.3でモデルを作れば、45°で0.3mm面を取ることになりますが、ヤスリで舐める程度であれば、角度や寸法がその通りになることはないでしょう。

これは作るモノにも、作る環境にも依るので正解が1つとは限りません。

設計だけでなく製造や調達も巻き込んだ選択をするのが望ましいところだと思います。