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製造業からみるインド

私はインドのグルガオンという都市(デリーの西隣)に2012年~2016年、駐在員として赴任していました。

その会社はマルチスズキの1次のインド部品メーカーと私の在籍していた日本の会社の合弁企業で、駐在期間中はインドを知る良い機会となりました。

帰任後、製造業の設計を何とかしていきたいとの想いで起業、日本とインドのエンジニアを巻き込んで活動しています。

そんな私が、中小製造業視点でインドをどう見ているか話そうと思います。

インドってどんな国?:地理編

1つの国のことなので、簡単に説明できるものでは有りません。

幾つかの切り口で見てみようと思います。

まず、インドの場所についてです。

日本とインドの地理関係

  上の地図を見るとよくわかりますが、インドはユーラシア大陸とアフリカ大陸のほぼ中央に位置します。

青い円は東京とニューデリー間のおよその距離を半径とした円になります(図法の関係上、直線が正しい距離ではないので目安程度と考えて下さい)。

飛行機で9時間弱の距離ですが、東端はハワイ、西は中国・東南アジア・インドの一部までといった具合です。

赤い円は同じ距離を半径としてニューデリーを中心とした円です。

東アジア・東南アジア・西アジア・アフリカの半分ほど・東欧が円内です。

日本に比べ、インドはアジア圏、アフリカ圏、欧州圏へのアクセスが非常に良い位置にあります。

  インドの近隣・国内について見てみましょう。  

 

インドの製造業

 

  私もインドに渡るまで知らなかったのですが、インドの東側はバングラデシュを挟みながらミャンマーまで達しています。

紅茶で有名なアッサムがこんな場所にあることも知りませんでした。

ニューデリーの緯度は奄美大島あたりと同じですが、気候は全く違います。

パキスタンやバングラデシュもイギリスの植民地時代には1つのインドという括りでした。

隣国のパキスタンや中国とは国境問題で今でも揉めています。

インドの製造業の1つ、自動車産業で見てみると上図の様に日本の乗用車メーカーが拠点を持っています。

国内市場に占めるシェアも高いので影響力は大きいです。

 

インドってどんな国?:歴史編+日本観

 

インドは、日本同様長い歴史を持った国ですから端折って話すことも難しいので大昔のことと現代のことにギュッと絞り込んで。

日本との関わりも仏教をはじめ、浅からぬ繋がりがあります。

インドの叙情詩マハーバーラタ(偉大なるバラタ族の物語)を読むと、日本の神話とよく似た話が多く有ってネタ元は同じではないかと思うくらい驚きます。

七福神もインドの神様由来だと知っていましたか?

現代インドは1947年にイギリスから独立する際、残念なことに宗教による分離独立となり、インド・東パキスタン(現在のバングラデシュ)・西パキスタン(現在のパキスタン)に分かれてしまいました。

私が小学生の頃は、バングラデシュではなく東パキスタンと言っていたのです。

独立後インドは、社会主義的色彩の強い民主主義国家となります。インド軍の武器に旧ソ連製が多いのは、そう言った理由だと思います。

インド人の日本(人)に対する印象は、概ね好意的だと思います。

年配の人は、極東の島国・日本が西洋に戦争で勝ったことや第二次大戦でインド独立の支援を旧日本軍がしてくれたと思っていることが、親日感に繋がっていると思います。

若い人は、テクノロジーやアニメ・漫画の国という印象らしく、国境紛争などの揉め事もないので日本に対してネガティブな印象はないようです。

でも家電で言えば、パナソニック・ソニー・サムソン・LGのどれが日本企業かを正確に知っている人は少ないので正しい日本観かと言われれば?ですが。

製造業から見たらどうなの?

 

インドの一般的な情報を、勝手な項目で表にしてみました。

この表から、 ・とにかく人が多くて若い人も多いということ。 ・経済的な伸び代が、相当残っているということ。 ・日系企業が、まだあまり進出していないということ。 が、わかります。

地理編では、インドの地理的優位点をみました。

特にアフリカには印僑のネットワークがありアフリカ市場に対して強みとなります。

歴史編では、親日的な国である点をみました。

製造業が、生き残るための選択肢はいくつも有ると思います。

新型コロナ禍が去った後の世界がどの様に変わるのかにも依りますが、国外に出るという選択肢を考えた時、インドという選択がテーブルにあっても良いと私は考えています。

但し上表を見てもわかるように、そんなに進出先として魅力的なら、なぜもっと多くの日本企業が進出していないかという疑問がわきます。

私は、多くの日本人が過度に臆病になっていることが、最大の理由になっていると思います。 このことに関する話は、また別の機会にしたいと思います。