T定規の世界から
1990年代の初め頃までは、製図と言えばドラフターが主流だったと思います。
それでも一番最初は、製図板とT定規、分度器、メモリの無い三角定規、コンパス、ディバイダ、鉛筆削りと字消板で授業の製図をしていました。
ドラフターすら使っていませんでした。
若い人は見たこともない様な道具もあるかもしれません。
当時、関数電卓は入手できたので計算尺は使ったことが有りませんが、私より少し目上の人は使っていたと思います。
懐かしい道具たち
上の写真でコンパスの群れの中の一番上に写っているのがディバイダです。
コンパスの芯が針になっているもの(つまり2本とも針)で、定規の上で必要な寸法までディバイダの針先を広げることで寸法を拾ってそれをそのままトレーシングペーパーの上にぶっ刺すんです。
そうすると紙に穴が開くので鉛筆でその穴を結ぶということをしていました。
だから図面には円中心の針穴以外にも結構たくさんの穴が開いていました。
コンパスの下にある定規も少し変わっていて写真のものは1/1以外に1/2と1/5の目盛も付いています。
これは縮尺が1/2とか1/5の時にいちいち暗算しなくても良いように予め目盛がふってありました。
鉛筆削りも削るだけでなく紙やすりも付いていて鉛筆の芯やコンパスの芯を欲しい太さに仕上げたりするタイプです。
右上に写っているのが字消板です。0.1mmほどの厚さの金属の板です。
この板に開いている穴がミソで、消したい線だとか文字などの上に穴位置を合わせて消しゴムで消すと必要な所だけ消せるというありがたいツールです。
カスタム 2D CAD
入社して配属された先は設計部でした。
部員1人に1台ドラフターがありましたから、中々壮観です。
製図の道具もドラフターになって製図板・T定規・分度器・三角定規は使わなくなりました。
縦横無尽に移動・回転する直角に配された目盛付きの定規が付いていたからです。
鉛筆も0.5mmと0.3mmの製図用のシャープペンシルに変わりました。
アナログからデジタルへ
アナログで図面を書くということは大変です。
描くべきものの縮尺や紙サイズ、三面視の配置や断面図・詳細図のレイアウトも考えないと、スペースが無くなったりレイアウトバランスが悪い図面になってしまいます。
最悪の場合、全て描き直しです。
同心円を描くと中心点に大きな穴があくこともしばしば有りました。
描く線によって太さを変えないと見づらい図面になりますし、紙の上を社服の袖で擦ったりすると鉛筆の粉がこすられて図面が黒くなってしまうことも有りました。
そんなドラフター生活も2年ほどで終りを迎えます。続きはその2へ。