図面における溶接表現の立ち位置

仕事柄、溶接を図面上で取り扱うことがあります。

JISでは溶接記号も定義されているんですが、図面で見るケースは半々といった感じです。

溶接の仕様が織り込まれた図面も有れば、「本部品は、溶接構造とする」みたいな文言だけで溶接の「よ」の字も無い図面も有りました。

溶接記号もJISとISOでは一部違っています。

私自身、以下のISOの溶接記号を見たことは有りません。JISにも載っていないようです。

溶接記号
ISO JIS

いずれにせよ本来、溶接情報はきちんと設計の意図を反映させたものを図面上に指示すべきです。

これがないと加工先毎でまちまちの溶接方法の物ができてしまい、全く違う品質のものが出来上がってしまいます。

では、なぜ溶接情報のない図面で物が作られているのでしょうか。

製缶物は、概して大きいものが多く、加工先が発注者の近郊または決まった加工先で有ることが多いようです。

特に中小企業の場合、図面にあれこれ織り込むより溶接後の形状を示して、作り方を加工先に任せた方がむしろ品質が確かで早く安くできてしまうという側面もあります。

1点物が多いのでお互いに事情を知った仲の方が阿吽の呼吸でやりやすい。(図面だけ渡しても初めての所なら打合せも必要になる。)

作り手側も図面に描かれると、指示以外のやり方で作ろうとした時、指示が足枷になってしまうという事情が発生する。(単なる作り手側の一方的な事情なんですが。)

設計者の怠慢とも言えますが、学校の授業でも溶接については殆ど触れられないため馴染みも薄く、丸投げになりやすい。(言い訳に過ぎないんですが。)

などなど、思い当たる理由がいくつも出てきます。

ものの情報が図面に転写(コピー)されていないということは、決して良いことだとは言えませんが、じゃあ溶接物に関してちゃんと指示を織り込むことが正解だと言い切れない自分がいることも確かです。

お客さんは、図面が欲しい訳では有りません。

要求した機能と性能を満足したものが欲しいはずです。

現状は否定しないで、上記の理由の背景が変わった時は原点に帰って対応するというのが、今の私の結論です。