“剛性”と”強度”は違う_その2

以前、曲げという現象における剛性というものが何かということを書きました。

その2では、曲げにおける強度について書きたいと思います。

そもそも強度とは?

剛性は、材料(ヤング率)と形状に依存します。

では強度はどうでしょうか。

強度は、材料そのものが持っている特性になります。

でも強いとか弱いとかというのはどういうことでしょうか。

ケンカならは、誰かと誰かがケンカして相手が降参したらどっちが強いかわかりますよね。

材料なら同じ形状で同じ力が加わった時、先に壊れたほうが弱い材料ってなるように思いますが、ちょっと違うんです。

「壊れる」の定義が難しいんです。

「お茶碗が壊れた」って言うのは、茶碗が割れた(破断した)時だと思います。

では、「バネが壊れた」のは、どんな時でしょうか。

バネが伸びて、元の長さに戻った時は、壊れたとは言いません。

バネをうんと伸ばして元の長さに戻らなかったら、多くの人がバネが壊れたと言います。

でもバネが切れた(破断した)わけではないんです。

壊れたという時の状態が違うんですね。

軟鋼の応力-ひずみ線図

下図は、材料力学などでよく見る引張りにおける軟鋼の応力-ひずみ線図です。

応力-ひずみ線図

極めてよく用いられる図なので、詳細な説明はここではしませんが、E点の縦軸の数値が引張強度と言われます。

でもこの強度は、材料は変形して元の形に戻れない状態です。

バネなら伸び切っているような状態です。

この強度が大きいことに意味があるのでしょうか。

設計の時は、その部品が塑性変形しない前提で考えています。

その前提に立てば、上図Bの弾性限度内で強度を考える必要があります。

この応力-ひずみ線図は、金属の種類によって形が違いますし、金属以外、例えばプラスチックでも全く形がちがいます。

ですから設計時に強度を検討する時は、材料が何で、どういった特性をもっているのかを知って置く必要があります。

カタログの数値は、A点なのかB点なのか、それともE点、はたまたF点なのかを見て、自分の欲しい情報かどうかを判断しないといけません。

一口に強度と言っても何を指しているのか、考える必要があるはずです。

やみくもに公式に数字を入れれば良いわけではないのです。

曲げと引張の関係

なぜ曲げの話の途中に引張りの話が入ってきたかと言うと、

曲げ応力

梁に曲げの力が加わると、梁の外側は引張られ内側は圧縮されるため、引張・圧縮の特性が関係してくるから理解の一助になると思ったからです。

曲げにおける強度とは

片持ち梁で、梁の先端に集中荷重がかかっているという”その1”の場合、

最大曲げ応力=最大曲げモーメント÷断面係数

で算出されます。

材料の基準強度>最大曲げ応力・・・使用可能

材料の基準強度<最大曲げ応力・・・使用不可

この最大曲げ応力が、安全率を含む基準強度以下であれば、曲げに関して設計上使用できるということになる訳ですが、基準応力にどの数値を取るかは前述の通り注意を払う必要があります。

おさらい

「曲げ」に関して言うと

剛性を上げたいときは、その部品の断面二次モーメントが大きくなるような形状にするか材料のヤング率を変えてやる必要があります。

ヤング率は、上記応力-ひずみ線図で言えば、原点からA点を結ぶ直線の傾きのことです。

強度を上げたい時は、試算した最大曲げ応力より大きい基準強度を持つ材料を選ぶか、断面係数が大きくなるような形状にしてやることです。

基準強度は、上記応力-ひずみ線図で例えるなら、縦軸(応力)の数字ことで、例えばA点の応力なのか、E点の応力なのかということです。

引張りや圧縮、ねじれに関しても同じような考え方をすればいいと思います。

剛性や強度に関しては、どちらも材料の物性値と部品形状という2つの要因で改善ができるのですが、中身が同じではないということです。

材料力学がとりわけ苦手だからからかもしれませんが、このことを、わかりやすく説明している本や資料に残念ながら出会ったことが有りません。

もっと、良い説明をしてくれるサイトなり資料が有ればうれしい限りです。