”剛性”と”強度”は違う_その1

お客さんや技術者と話をしているときに、強度とか剛性とかの言葉を耳にする機会がたまにあります。

でも何だかこの2つの言葉を混同しているなと感じることもありました。

そこで、もう一度この2つの単語の意味を、よく使われる梁の現象を使って振り返ってみたいと思います。

剛性とは?

力には、引張・圧縮、曲げ、ねじりなどのかかり方がありますが、まず曲げにおける剛性をみてみます。

片持ち梁で、梁の先端に集中荷重がかかっているという材料力学ではおなじみのシンプルなモデルで考えてみましょうか。

片持ち梁
一端が固定され他端が自由な、長さがL、断面の幅がb、高さがhの梁で、先端に1つの集中荷重Pがかかった時の梁先端部のたわみをfとしたとき、関係式は上記のようになります。但し弾性の範囲内(Pを除いたらfが0に戻る状態)での話です。またbやhはLに対して十分小さいことが前提です。

剛性は、平たく言えば変形のしづらさを表すもので、剛性が高ければなかなか変形しないし、剛性が低ければ簡単に変形するというものです。

上式で言えば 同じ “P” で “f” を小さくすれば剛性がアップしたと言えそうです。つまり “L” を小さくするか、”E” を大きすくるか、”I” を大きくすれば良いわけです。

剛性を大きくするには

“L” を長くすることができれば “f” は小さくできますが、話題になるケースで “P” の作用点である “L” を変更できることは殆どありません。なので、”L” については今回対象外とします。

次に “E” を大きくすることですが、”E” は縦弾性係数/ヤング率と言われるもので材料によって異なる値です。例えば、鋼なら約210GPa、アルミニウムなら約70GPaです。梁の材料が鋼なら、たわみは計算上アルミの1/3となります。

“I” は断面二次モーメントと言われ矩形断面の時は上式のとおりです。つまり “I” を大きくするには “b” や “h” を大きくすれば良いのです。しかも “h” は3乗で効いてきますので、”h” を25%大きくするだけで計算上たわみを約半分にできます。

曲げについては、剛性を上げたいのであればヤング率の大きい材料に変更するか、梁の断面形状、特に高さ方向を増やしてやると良いということになります。

これに対して強度を上げるというのは違う観点が必要です。

これについては、その2で述べたいと思います。

氾濫する情報と真贋を見分ける力

西暦2000年以前とそれ以降では、情報の世界の大きさと量が信じられない位大きくなっていることに今更ながら驚くばかりです。

インターネットが普及する前は、何か調べるにしても伝手をたどって人に聞くか、新聞雑誌や書籍などのメディアくらいしか手段がありませんでした。

つまり必要な情報を得るためにはそれなりの労力が必要でした。量は少ないですが確からしい情報は得られていたと思います。

会社勤めをしていた頃、社内から様々な調査依頼を受けてレポートを作成する仕事もしていましたが、インターネット普及前だったので、図書館に行ったり関係者を訪ねていったりして調べていました。足で稼ぐみたいな感じです。依頼者の意図をよく理解して報告しないと全てが無駄な作業になってしまいます。

今は、ネットでググればある程度の情報が多く瞬時に得られます。まさに玉石混交で量という点では便利ですが、確からしさという点では慎重に考えるべきだと思います。

もちろんネット以外の情報媒体にも目を通しておいたほうがいいケースは今もあります。

SNSではインターネットとは違う情報が飛び交っているのを最近知って驚いています。(今頃?と言われそうですが。)

情報が多すぎて何を選べば良いのか迷うくらいです。またその情報がどこまで正しいのか見極める必要もあります。

残念ながら故意かどうかは別として、不確かな情報が少なくないのも確かです。

技術関連の情報でも同様です。例えば折れ線グラフで何かの増減の変化を示す時、縦軸の目盛を大きく取るか小さく取るかで変化の見え方が全く違います。もしグラフ作成者が意図的に目盛の取り方を変えていて、それを見る人が折れ線の山谷の大きさだけ見ていたら正しい判断ができるでしょうか。

情報発信者を常に疑えと言うつもりは有りませんが、情報の受け手側には以前にも増して真贋を見極める力が必要な時代だと思います。

原理原則に基づいた判断の軸を持って情報を使うことが求められていると最近つくづく思います。100%正しい情報でなければ不確かさの程度を自分なりに織込んで、場合によっては補正しながら、その情報を活用していくことが重要だと思います。

情報に使われるのではなく、情報を使う立場でいたいと思います。